8月第3週(8月11日〜16日)は、ピークシーズンの夏枯れが逆に市場の動きに敏感さをもたらす中、ドル円相場は先週(8月4日〜9日)147円を挟んで安定的に推移しました。
8月1日の150円台半ばから、週前半に147円付近まで戻した背景には、日米の長短金利差やFRBの利下げ思惑の変化が反映されたものと考えられます。
今週発表予定の米国のCPI(消費者物価指数)やPPI(生産者物価指数)は、市場が注視する主要イベントとなり、政策スタンスの見通しに影響を与える可能性があります。
また、欧州や中国からの経済指標も控えており、グローバルなリスク許容度の変化が為替や金融に波及する展開が予想されます。
夏休みシーズンゆえに取引量は減少傾向ですが、そのぶん1つの指標で急変する傾向も強まります。
第33週にあたる今週は、「夏枯れ相場でこそ起こりやすいロイター写し」的な展開への警戒も必要です。
以下に、今週の主要経済指標スケジュールと注目ポイントをまとめました。
時間 | 重要度 | 指標 | 結果 | 予想 | 前回 |
8月11(月) | |||||
20:00 | ★★ | 製造業生産高(季調済)[前月比] | 0.2% | 2.0% | |
未定 | ★★★ | SACCI景況感指数 | 115.8 | ||
未定 | ★★ | 卸売物価指数(WPI)[前月比] | 0.2% | ||
未定 | ★★ | 卸売物価指数(WPI)[前年比] | 0.9% | ||
8/12(火) | |||||
8:01 | ★★★ | BRC既存店売上高[前年比] | 2.7% | ||
8:50 | ★ | マネーストックM2[前年比] | 0.9% | ||
9:00 | ★★ | 第2四半期 GDP[前年比] | 4.3% | 4.3% | |
10:30 | ★ | NAB企業景況感 | 9.0 | ||
13:30 | ★★★★ | 豪中銀政策金利 | 3.6% | 3.85% | |
15:00 | ★★★★ | ILO失業率 | 4.7% | ||
15:00 | ★★★ | 失業率 | 4.5% | ||
15:00 | ★★★ | 失業保険申請件数[前月比] | 2.59万件 | ||
18:00 | ★★★★ | ZEW景況感指数 | 42.6 | 52.7 | |
18:00 | ★★★ | ユーロ圏ZEW景況感指数 | 36.1 | ||
18:30 | ★★ | 第2四半期 失業率 | 32.9% | ||
21:30 | ★★★★ | 消費者物価指数(CPI)[前月比] | 0.2% | 0.3% | |
21:30 | ★★★★ | 消費者物価指数(CPI)(食品・エネルギー除くコア)[前月比] | 0.3% | 0.2% | |
21:30 | ★★★★ | 消費者物価指数(CPI)[前年比] | 2.8% | 2.7% | |
21:30 | ★★★★ | 消費者物価指数(CPI)(食品・エネルギー除くコア)[前年比] | 3.0% | 2.9% | |
21:30 | ★★★ | 住宅建設許可[前月比] | 12.0% | ||
未定 | ★★ | 経常収支 | 96.0億ユーロ | ||
8/14(木) | |||||
15:00 | ★★★★ | 第2四半期 実質GDP[前期比] | 0.7% | ||
15:00 | ★★★★ | 第2四半期 実質GDP[前年比] | 1.3% | ||
8/15(金) | |||||
21:30 | ★★★★★ | 小売売上高[前月比] | 0.5% | 0.6% | |
21:30 | ★★★★★ | 小売売上高(自動車除くコア)[前月比] | 0.3% | 0.5% | |
22:15 | ★★★★ | 鉱工業生産指数[前月比] | 0.1% | 0.3% | |
22:15 | ★★★★ | 設備稼働率 | 77.6% | 77.6% | |
23:00 | ★★★★ | ミシガン大学消費者信頼感指数 | 62.0 | 61.7 |
8/11~8/15の注目度の高い経済指標
重要度★★★以上から厳選
8月12日(火)
- (8月)豪中銀政策金利
- (6月)ILO失業率
- (8月)ZEW景況感指数
- (7月)消費者物価指数(CPI)
8月14日(木)
- 第2四半期 実質GDP[前期比]
8月15日(金)
- (7月)小売売上高[前月比]
- (7月)小売売上高(自動車除くコア)[前月比]
- (7月)鉱工業生産指数[前月比
- (7月)設備稼働率
- (8月)ミシガン大学消費者信頼感指数
各指標の重要ポイント
8月12日(火)
- 【豪中銀(RBA)政策金利】
前回:据え置き(3.85%)。
今回の予想:インフレ率が2.1%と約4年ぶりの低水準、失業率が4.3%に上昇。
これを受け、0.25ポイントの利下げ(3.60%へ)がコンセンサスです。
年内さらにもう1回の利下げの可能性も高く、市場心理にとってポジティブな材料になる見通しです。 - 【ZEW景況感指数】
前回:6月には +47.5と急回復傾向。
今回の予想:世界的な不均衡懸念や米新関税の影響を受け、6月ほどの高水準は期待しづらく、調整局面入りかという見方が強まっています。 - 【消費者物価指数(CPI)】
コアCPI(食料・エネルギー除く)前月比:+0.3%がコンセンサスとされており、前年比では 3.0%程度になる見通しです。
ヘッドラインCPI前月比:+0.2%程度になる可能性が示唆されており、前年比では 2.8%〜2.9% が妥当と見られています。
8月14日(木)
- 【英国:GDP 第2四半】
前回(Q1):+0.7%(年率換算はやや高め)。
今回の予想:多くのエコノミストは、成長鈍化で0.1〜0.2%程度にとどまるとの見方。
国内消費の持ち直しが鍵となる一方、米国の関税問題や税負担の増加が逆風となる可能性も。
8月15日(金)
- 【鉱工業生産・設備稼働率】
前回(6月):生産・稼働率ともに堅調な伸び。
今回の見どころ:一時的な供給網の緩和で反発の可能性あり。
特に設備稼働率が70%台であれば、製造業の底堅さが確認できるため、景気回復の雰囲気を支える要素になるでしょう。 - 【小売売上高】
前回(6月):消費がやや停滞気味。
今回予想:暑さによる支出増やバーゲン商戦により、わずかながら持ち直しが予想されています。
特にコア(除自動車)は、基調判断としての重要性が高いです。 - 【ミシガン大学消費者信頼感指数】
前回:7月にやや低下傾向。
今回の見どころ:消費者の心理に底打ち感があるかどうかに注目。
もし改善傾向が見られれば、消費の持ち直し期待も高まり、金融政策先行きへの安心感にもつながります。
先週の相場と比較して意識すべきポイント
先週の為替市場は、米ドルがやや軟調気味に推移する一方、リスク回避の動きも限定的で、全体としては落ち着いた値動きでした。
しかし、今週は重要経済指標の発表が目白押しなため、相場の方向感が明確になる局面が増えそうです。
まとめ|今週の相場で意識すべきこと
先週は市場の様子見ムードが強かったものの、今週は米CPIとRBA政策金利をはじめ、多数の重要指標の発表が控えており、相場の大きな転換点になる可能性があります。
特に米国のインフレ動向や豪州の利下げ動向は、ドル・豪ドルの方向性を大きく左右するため、注視が必要です。