【FX戦略】3会合連続利下げ後のドル円は? FRBと市場の「利下げ観のズレ」を突くトレード戦略

「利下げは罠かチャンスか!?パウエル議長が仕掛けたFRBの本音」と書かれたタイトル画像 FXトレード手法・戦略
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2025年も残すところあとわずかとなり、トレーダーにとっては一年を締めくくる最大のイベントがついに終わりましたね。

今回のFOMCでは、利下げが決定されました。

素直にドル売りで攻めたのに思ったより下がらない、あるいはすぐに戻ってきてしまった、そんな悔しい思いをしているかもしれません。

今回は、なぜ利下げなのにドルが底堅いのか、そして市場の期待とFRBが見ている現実のギャップをどう利益に変えていくかについて、私の考えをシェアしていきます。

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※掲載のスプレッドはドル円の場合です。
また、相場状況などにより変動することがあります。

3会合連続利下げの事実と市場の反応に隠された罠

今回のFOMCの結果は、多くの市場参加者が予想していた通りの0.25ポイント利下げでした。

これで9月、11月、12月と3回連続での利下げとなり、米国の政策金利は明確に低下局面にあります。

普通に考えれば、金利が下がるのだからドルは売られるはずです。

しかし、相場というのはそう単純ではありません。

発表直後の値動きを振り返りながら、市場が何を見落としていたのかを整理してみましょう。

まず押さえておきたいのは、この3連続利下げというシナリオは、ここ数ヶ月の経済指標の悪化を受けて、すでに市場価格にほぼ100パーセント織り込まれていたということです。

FXの世界では噂で買って事実で売るという格言がありますが、今回は噂でドルを売って、事実でドルを買い戻すという動きが顕著に出ました。

みんなが知っているニュースが出ても、相場はそれ以上同じ方向には動かない典型的な例です。

もう一つの重要なポイントは、パウエル議長の記者会見でのトーンでした。利下げは行いましたが、彼は決して経済が悪いから金利を下げるとは言いませんでした。

むしろ、インフレが順調に目標値に近づいているから、高すぎた金利を正常なレベルに戻しているだけだという予防的な利下げの姿勢を強調しています。

これは景気後退を恐れて慌てて利下げをするハト派的な動きとは全く異なります。

経済は底堅いという自信を見せたことで、市場が勝手に期待していた2026年の大幅な利下げ観測に対して、冷や水を浴びせる形になったのです。

これがいわゆるタカ派的な利下げと呼ばれる現象です。

市場の織り込み具合はCME FedWatch Toolなどで確認できます。
プロトレーダーは必ずチェックしていますよ。

FRBと市場の利下げ観のズレを利用した逆張り思考

さて、ここからがトレーダーとしての腕の見せ所です。

現在、市場のコンセンサス(合意)とFRBが提示した見通しの間には、明確な乖離が存在しています。

このズレは、時間の経過とともにどちらかに修正されていく運命にあります。

その修正過程で発生する値動きこそが、私たちにとっての大きなチャンスになるのです。

今回発表されたドットチャート、つまりFOMC参加メンバーによる今後の金利予測を見て驚いた人もいるでしょう。

市場の金利先物市場では2026年中にあと4回から5回の利下げを織り込んでいましたが、FRBメンバーの中央値は年内あと2回から3回程度にとどまっていました。

つまり、FRBは市場が思っているほど急いで金利を下げるつもりはないのです。

このギャップが埋まるとすれば、市場側が間違いを認めて、行き過ぎた利下げ期待を修正する時です。

それはすなわち、米金利の上昇とドル高圧力を意味します。

このズレをどうトレードに活かすかですが、基本的にはドル円のショート(売り)一辺倒になるのは危険だと考えています。

もちろん長期的には金利は下がりますが、短期的には下げ渋る展開が予想されます。

私が注目しているのは、今後発表される雇用統計やCPI(消費者物価指数)です。

もしこれらの指標が予想よりも強ければ、市場はFRBの見通しが正しかったと認めざるを得なくなり、ドルが急騰する可能性があります。

FRBの視点と市場の視点の差は「約2回分」の利下げ。
この差がドル円を約2円〜3円動かすエネルギーになり得ます。

年末特有の流動性リスクと「掉尾の一振」への警戒

12月のトレードで忘れてはいけないのが、カレンダー要因です。

FOMCを通過したことで、欧米の機関投資家や大口トレーダーは一気にクリスマス休暇モードに入ります。

これが何を意味するかというと、市場参加者が減り、市場の流動性が極端に低下するということです。

流動性が低いと、普段なら何でもないような小規模な注文でも、レートが飛ぶように大きく動いてしまうことがあります。

特に注意したいのが、年末特有のポジション調整です。

損失を出しているポジションを年内に処分したり、逆に利益確定のために決済したりする動きが、不規則なタイミングで発生します。

日本では昔から「掉尾の一振(とうびのいっしん)」と言って、年末最後の最後に相場が大きく動く現象がありますが、FX市場でも同様のことが起こり得ます。

FOMC後の方向感が定まらない中で、急にスプレッドが広がったり、理由のない急騰・急落に巻き込まれたりするリスクが高まります。

この時期の戦略としては、普段よりもポジションサイズを落とすか、ストップロス(損切り注文)をいつもより広めに、かつ確実に設定しておくことが自分の資産を守る鍵になります。

無理に利益を追いかけるよりも、生き残ることを優先すべき時期だと言えるでしょう。

【鉄則】年末年始の最優先事項は「資金を減らさないこと」。
余裕資金で年を越すことが、翌年の良いスタートにつながります。

テクニカル分析で見るドル円の「高値維持ポイント」と2026年の景色

ファンダメンタルズの話ばかりしてきましたが、チャートの形状にも目を向けてみましょう。

現在(2025年12月12日時点)ドル円は155円台後半という極めて高い水準で推移しています。

3連続利下げというドル安要因がありながらこの水準を維持していることが、ドルの底堅さと円売りの根強さを物語っています。

多くのトレーダーが次に意識しているのは、直近の大きな節目である155.00円と、さらなる上値抵抗となる158.00円(または過去高値)のゾーンです。

今回のFOMC発表直後は、利下げを受けて一時的に154円台後半まで下押しがありましたが、すぐに買い戻されて長い下ヒゲをつけました。

これはテクニカル的に見ても、この高値圏で依然として強い買い意欲があることを示唆しています。

もし、この155.00円の心理的節目を明確に割り込まない限り、短期的には下値を固め、さらなる高値を目指す形を作る可能性があります。

一方で、上値はやはり過去のレジスタンスや市場介入への警戒感が集中する158円~160円付近が重い蓋になっています。

2026年の景色を想像すると、FRBの利下げペースが緩やかになることが確認されれば、この155円~158円のレンジ相場がしばらく続くか、あるいは日本政府・日銀の対応次第で、円安方向へブレイクするシナリオも描けます。

年始は、本邦の生保や年金基金などの機関投資家が、新たな外債投資の枠組みを決める時期でもあり、これが実需のドル買い注文として下値を支える可能性があります。

チャートの節目でのプライスアクションと、政府・日銀の発言を丁寧に見極めていきましょう。

【日本要因】日本の機関投資家の動きは、数兆円規模の超巨大な実需のドル買い注文になる可能性があります。
要注目です。

2025年12月12日のFOMC振り返りQ&A

ここでは、昨日のFOMCを受けて本日の市場で話題になっている細かいポイントや、トレーダー仲間からよく聞かれる当日の具体的な事象について、Q&A形式でまとめてみました。

今日のトレード環境を確認する意味でも参考にしてください。

Q1:今回の利下げ幅と決定後の政策金利はいくつになりましたか?

A1:0.25%の利下げが行われ、フェデラルファンド金利の誘導目標レンジは3.25%から3.50%になりました。

全会一致ではなく、ボウマン理事が据え置きを主張して反対票を投じたことも話題になっています。

Q2:発表直後のドル円レートはどのように動きましたか?

A2:発表直前は156.42円付近でしたが、結果発表とパウエル氏の会見で155.79円付近まで下落しました。

Q3:パウエル議長のネクタイの色が気になりましたが何色でしたか?

A3:今回は落ち着いた濃いブルーのネクタイでしたね。

市場に対し冷静さと安定感をアピールする意図があったのかもしれません。

Q4:ドットチャートでの2026年末の金利予想中央値は?

A4:今回示された中央値は3.50%でした。

市場参加者の多くが3.00%から3.25%を予想していたため、これよりも高い水準が示されたことがドルを支える要因になっています。

Q5:今日の東京市場での本邦実需勢の動きはどうですか?

A5:今日は5・10日(ゴトオビ)ではありませんが、週末かつ年末ということもあり、輸入企業によるドル手当ての買いが観測されています。

これが141円台後半での底堅さにつながっているようです。

Q6:次回2026年1月の会合での利下げ確率はどう変化しましたか?

A6:CMEのFedWatchツールを見ると、1月の据え置き確率は昨日までの30%から60%へ急上昇しました。

一旦利下げを見送るという見方が優勢になっています。

Q7:今回の声明文で削除された文言はありますか?

A7:雇用の増加が鈍化しているという表現が少しマイルドになり、労働市場は引き続き堅調であるというニュアンスが強まりました。

景気後退リスクへの警戒感が少し後退した印象です。

Q8:今日発表される米国の経済指標で注目すべきものは?

A8:今夜は米国の11月生産者物価指数(PPI)の発表があります。

CPIに続きインフレの落ち着きを確認できるかが焦点ですが、昨日の今日なので反応は限定的かもしれません。

Q9:日米金利差は現在どれくらい縮小しましたか?

A9:米国の10年債利回りが3.9%台、日本の10年債利回りが1.1%台で推移しており、金利差は約2.8%程度です。

以前のような大幅な差ではなくなっていますが、依然としてドル保有の優位性は残っています。

Q10:来年のFRB議長人事に関する発言はありましたか?

A10:会見で記者から質問が出ましたが、パウエル議長は自身の任期についてはノーコメントを貫きました。

ただ、任期満了まで務め上げる意欲は隠していません。

年末年始に向けた相場の展望とまとめ

今回のFOMCは、3連続利下げというハト派的な行動と、ドットチャートや発言によるタカ派的なシグナルが混在する、非常に味わい深い内容でした。

私たちトレーダーにとって重要なのは、市場の思い込みと現実のデータの乖離を見つけることです。

2025年も残りわずかですが、この視点を持って相場に向き合えば、きっと良い締めくくりができるはずです。

2025年12月FOMC後の要点まとめ

市場は悲観的すぎる:FRBは米経済のソフトランディングに自信を持っており、市場の景気後退懸念は行き過ぎの可能性がある。

ドットチャートを信じる:市場の期待よりもFRBの金利見通しの方が高く、これがドル円の下値を支える強力な根拠になる。

薄商いに注意:12月後半は流動性が低下するため、突発的な乱高下やスプレッド拡大に備えてポジション管理を徹底する。

安易な突っ込み売りは避ける:材料出尽くしや年末のポジション調整で、下がったところは急速に買い戻されるリスクが高い。

データ次第の展開へ:今後は連続利下げが止まる可能性があり、毎回の雇用統計や物価指標の結果がトレンドを決定づける。

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。

この記事が皆さんの年末トレードのヒントになれば嬉しいです。

2026年も一緒に市場の波を乗りこなしていきましょう。

また次回の記事でお会いしましょう。