FXのテクニカル分析とは、過去の価格や出来高といったデータを時系列に見て判断する方法です。
テクニカル分析は、経済的な要因から判断するファンダメンタルズ分析とは異なり、チャートを見てこの先の為替レートの推移を予測します。
ファンダメンタルズ分析が、長期の為替レートの推移を予測するのに適しているのに対し、テクニカル分析は、短期の為替レートの推移を予測するのに適しています。
テクニカル分析の種類
テク二カル分析には大きく分けて、トレンド系・オシレーター系・ボラティリティ系・パターン系・出来高系の5つの種類があります。
さらにその中には、数十種類にも及ぶ指標が分類されています。
ここではその中から、私が日頃の取引で使用しており、一般的にもよく使われている代表的なテクニカル指標を解説していきます。
【テクニカル分析の基本理論】
・すべての取り巻く環境はレートに織り込まれている
経済発表・金利政策・地学的なリスクなど。
・チャートはトレンドを形成する
方向感が出ると一定期間流れに沿って推移することが多い。
・チャートには再現性がある
今までに見られたチャートの形は繰り返す傾向がある。
トレンド系指標
- 【移動平均線】
移動平均線とは、過去のレートの推移を平均化して線で表したもので、線の向きや角度から今後の相場の方向性を予測することができます。
また、複数の時価軸の線を使うことで、ゴールデンクロス・デッドクロスなどと判断されています。 - 【ボリンジャーバンド】
ボリンジャーバンドとは、移動平均線の上下にレートが収まりやすい範囲をバンドとして描いたものです。
相場が反転するタイミングを見計らうのに役立ちます。 - 【一目均衡表】
一目均衡表とは、買いシグナル・売りシグナルをわかりやすく表した指標です。
転換線・基準線・先行スパン1・先行スパン2・遅行スパンの5本のラインを用います。
また、時間軸・波動論・水準論の3つの理論を基本としています。 - 【フィボナッチ】
フィボナッチとはレオナルド・フィボナッチが見つけた数列のことです。
特によく使われる指標は2種類で、どちらもこれからのレートの目安を立てるのに使われます。
・(フィボナッチ・リトレースメント)
上昇トレンドのときは押し目、下降トレンドのときは戻りのレートを予測できます。
・(フィボナッチ・エクスパンション)
これからのレートを予測するのに使います。 - 【MACD】
MACDとは、MACDとシグナルの2本のラインを用いた指標です。
シンプルなので初心者にもわかりやすく、トレンド転換の兆候を比較的早めに知ることができます。
オシレーター系指標
- 【RSI(Relative Strength Index)】
一定期間内の変動幅をもとに、相場の過熱感を0%~100%の数値で表した指標。 - 【ストキャスティクス】
現在のレートが、一定期間内の最高値と最安値のどの位置にあるかを数値化したもの。
テクニカル指標の特徴
5種類の系統にはそれぞれの役割と相場との相性があります。
また、系統を組み合わせて使うことで、より高いレベルのテクニカル分析が可能になります。
- 【トレンド系指標】
(内容)トレンドの強さと方向性確認。
(効果を発揮する場面)順張りトレード - 【オシレーター系指標】
(内容)相場の過熱感を表す。
(効果を発揮する場面)逆張りトレード - 【ボラティリティ系】
(内容)レート変動の激しさを表す。
(効果を発揮する場面)ブレイクアウトを察知する。 - 【出来高系】
(内容)取引量・相場の勢いを表す。
(効果を発揮する場面)トレンドの信頼度を表す。 - 【パターン系】
(内容)チャートの形やレート動向を見る。
(効果を発揮する場面)相場の継続・転換を表す。
テクニカル指標の使い方
FXトレーダーの間で一般的に使われているテクニカル指標のうち、私が特におすすめするテクニカル指標を選抜しました。
ここでは、テクニカル指標の使い方について、初心者の方にもわかりやすく簡潔に解説していきます。
移動平均線の使い方
【判断基準は?】
現在のレートが、平均線より上にあるか下にあるかで、今後の相場の方向感を予測します。
【使い方は?】
・移動平均線は、短期移動平均線(短期線)と長期移動平均線(長期線)を組み合わせて使います。
私の場合は、5日・20日・75日・200日線を設定しています。
・短期線が下から上に抜ける → 買いサイン
これをゴールデンクロスと呼んでいます。
・短期線が上から下に抜ける → 売りサイン
これをデッドクロスと呼んでいます。
ボリンジャーバンドの使い方
【判断基準は?】
チャートに「±1σ」「±2σ」といった線があり、内側の±1σのラインにレートが収まる確率は68%となっています。
また、外側の±2σのラインに収まる確率は95%となっています。
したがって、下に外れたときは「売られすぎ」上に外れたときは「買われすぎ」という判断材料になります。
【使い方は?】
・レートがバンドの外に出たら、中心に戻る可能性が高くなる。
(逆張りに使える)
・バンドが狭まくなった後に広がると、大きく動くサイン。
(順張りに使える)
一目均衡表の使い方?
【判断基準は?】
5本の線で構成され、「雲」と呼ばれている場所を見ます。
【使い方は?】
・レートが雲より上にある→買い優勢。
・雲の中にいる → 様子見して待つ。
・雲を下抜けた → 売りが優勢の可能性。
フィボナッチ・リトレースメントの使い方
【判断基準は?】
レートが反転した後に戻る目安を数値化。
【使い方は?】
私の経験上、よく戻る位置は「38.2%」「50%」「61.8%」ですが、他にも「23.6%」「78.6%」などもあります。
フィボナッチ・エクスパンションの使い方
【判断基準は?】
レートが今後伸びる目安を数値化。
【使い方は?】
どこまで保有するか→利益確定の目安になる。
「100%」「161.8%」などがある。
MACDの使い方?
【判断基準は?】
2つの移動平均線を使って「トレンドの発生」と「トレンドの転換」を見る指標。
【使い方は?】
・MACDがシグナルを下から上に抜く。
→買いサイン
・MACDがシグナルを上から下に抜く。
→売りサイン
RSIの使い方
【判断基準は?】
RSIの数値で判断(0%~100%)
【使い方は?】
・70~80以上の場合は買われすぎ → 売りを検討
・25~30以下の場合は売られすぎ → 買いを検討
ストキャスティクスの使い方
【判断基準は?】
RSIより早めに反応するのが特徴。
【使い方は?】
70以上で交差 → 売りサイン
30以下で交差 → 買いサイン
よくある質問(FAQ)
初心者の頃に私が感じた疑問や、よく寄せられる質問を中心に、テクニカル分析に関するQ&Aをまとめました。
Q1. テクニカル指標はどれを使えばいいの?
A.私が取引をする中で、移動平均線・RSI・フィボナッチ・リトレースメントがもっとも使っています。
どれも非常に便利ですので、まずはマスターしてみてください。
Q2.ゴールデンクロスとデッドクロスって本当に機能するの?
A.相場には騙しも多いので、単体で判断せずRSIやMACDなど、他の指標と組み合わせるのがおすすめです。
Q3. フィボナッチって本当に効果あるの?
A.多くのトレーダーが使用しており、38.2%、61.8%のラインは特にレートが反応しやすい傾向があります。
ぜひ、フィボナッチを用いての検証をしてみてください。
Q4.テクニカル分析は過去のデータなので意味ないのでは?
A.過去のデータなので突発的なニュースなどには意味がありません。
しかし、過去のデータに現在のレートの推移を当て嵌めれば、1つの参考にはなります。
Q5.テクニカル分析を勉強したらみんな勝てるの?
A.テクニカル分析は、FX取引で少しでも良いトレードをするためのツールです。
Q6.どの時間足を見れば勝てますか?
A.私は複数の時間足を組み合わせる、マルチタイムフレーム分析をしています。
ご自分のトレードスタイルに合わせて、1番良い結果が出る時間足を探すのもおすすめです。
テクニカル分析のまとめ
- テクニカル分析は、短期の為替レートの推移を予測するのに適している。
- チャートにはすべての出来事が織り込まれている。
- チャートはトレンドを形成し、再現性もある。
- テクニカル指標はまず3つ覚えよう。
- テクニカル指標の数値基準は、自分でも検証してみる。
テクニカル分析は、過去のレートや動きをもとに相場の流れを予測するための重要なツールです。
移動平均線、ボリンジャーバンド、MACDなど、基本的な指標を理解し、実際のチャートで活用できるようになることが上達への第一歩となります。
まずは個々の指標に慣れ、自分のトレードスタイルに合った分析方法を身につけていきましょう。