FX取引で利益を得るためには、為替レートの動きを予測しなければなりません。そのためには、レートが動く要因を知っておく必要があります。為替レートは、その通貨を発行する国の経済などの状況によって変動します。この経済の基礎的条件を「ファンダメンタルズ」と呼んでいます。例えるならば、ファンダメンタルズは、為替レートや株価を左右する経済の健康状態を測る健康器具のようなものです。
ファンダメンタルズ分析の特徴
景気動向や金利などの分析を行い、為替レートの動きを予想することを「ファンダメンタルズ分析」と呼んでいます。経済が強い国や好景気な国の通貨は高くなる傾向が強くなります。逆に景気が悪かったり、政情不安の国は通貨が安くなる傾向が強いです。
ファンダメンタルズ分析でトレンド予測
ファンダメンタルズ分析は、大きなトレンドを予測するには適していますが、小さなトレンドを予測すのには向いていません。ファンダメンタルズには、社会情勢や無数の経済指標、要人発言などいろいろなものが複雑に日々絡んでいるからです。例えば、アメリカの要人から利下げを示唆するような発言があったとします。その場合は、「ドルは徐々に弱くなっていくだろう」と未来を予想することができます。
通貨の価値が変動する具体的要因
- 金利差
利回りが高い通貨が高くなりやすい
利上げ、利下げ発言にも左右される - 景気
GDP、失業率、インフレ率などの数値 - 地政学リスク
戦争、選挙、経済制裁などのリスク - 原油などの商品価格(原油価格上昇の場合)
輸出国は通貨も上昇しやすい
輸入国は通貨も下落しやすい - 投資マネーの流れ
魅力がある国には資金が集まりやすい
金利政策とは?
金利を引き上げる、金利を引き下げるなどの金利政策は、各国政府が行っています。景気が悪くなれば、市中に出回るお金の流通が悪くなります。そんなときは、金利を下げることによって、市中に出回るお金の量を増やし、景気を刺激します。逆に好景気のときは、消費や投資に過熱感が出てインフレ懸念が生じます。そのため金利を引き上げて、市中に出回るお金の量を減らしてインフレ対策を行います。
金利が高い魅力とは?
金利が低い国よりも、金利が高い国のほうが魅力的な投資先となります。もしあなたがお金を預けるとしたら、少しでも金利が高い金融機関に預けたいと思いませんか?莫大な資金を運用している大口投資家やファンドもそれは同じ考えで、日々資金の運用先を模索しています。そのようなことから、金利の高い通貨は上昇する傾向が強くなります。
経済指標には注意しよう
経済指標は金利にも影響する
FX取引をしているならば、経済指標は必ずチェックが必要です。経済指標は経済状況を数値化するだけでなく、政府の経済政策にも影響し、今後の金利にも影響を与えます。経済指標が悪かった場合は、「今後、政府は金利を引き下げるかもしれない」と考えられます。
日本国内の主な経済指標
- 景気動向指数
景気の状況や先行きを把握するために、複数の経済指標を用いて作られる - 卸売物価指数
企業間で取引される商品の価格動向 - CPI(消費者物価指数)
一般家庭が購入するモノやサービスの価格動向を表す指数 - GDP(国内総生産)
国内で一定期間に生み出されたモノやサービスの総価値 - 失業率
15歳以上で求職中だが仕事がない人の割合 - 有効求人倍率
求職中の人に対しての求人数の割合
米国の主な経済指標
- 鉱工業生産指数
鉱工業部門(製造業・鉱業・電力・ガス)の生産活動状況を指数化したもの - 新規失業保険申請件数
アメリカ国内で失業保険を申し込んだ人の数 - 中古住宅販売件数
アメリカ国内で一か月間に販売された中古住宅の個数 - 住宅着工件数
アメリカ国内で1か月間に建設された新築住宅の戸数 - GDP(国内総生産)
アメリカ国内で新たに生み出された財やサービスの数値 - CPI(消費者物価指数)
商品やサービスの価格の変化を調査して指数化したもの - 非農業部門雇用者数
農業以外の産業で働く労働者数が、どれくらい増減したかを表す数値 - ADP雇用統計
ADP社が調査した民間の雇用者数の増減を表す指標 - ISM製造業景況指数
企業の景況感を表す指数 - ISM非製造業景況指数
サービス業の景況観を表す指標 - 小売売上高
消費者の購買活動状況を表す指標 - FOMC(政策金利)
FRBの今後の考えを示す重要な指標と発言がある
経済指標公表時間の注意点
経済指標は、FX会社などから提供されている、経済指標カレンダーで公表されるスケジュールを確認することができます。経済指標が公表されると、「予想値より急激に改善」や「予想値より急激に悪化」などの展開になり、為替レートが乱高下することもあります。特にアメリカは経済大国なので世界経済にも大きな影響を与えます。経済指標発表の際にも、激しく為替レートが動く場合が多いです。私の場合は、経済指標発表の際に急変動することを考えて、ポジションを少なめにして証拠金維持率に余裕を持つように気をつけています。
国内で大きく円高や円安に振れた出来事
- 2012年 アベノミクス始動
第二次安倍内閣「マイナス金利政策」を導入 - 2013年4月 「量的・質的金融緩和」
日本銀行総裁に就任した、黒田東彦総裁は「量的・質的金融緩和」を発表。デフレ脱却を目標に掲げた金融緩和で、2年間で前年比2%の物価上昇を目指すもので、市場に供給するお金の量(マネタリーベース)を倍増させるというものでした。それまで1ドル90円台でしたが、円安傾向の流れとなり、円の下落が始まりました。 - 2014年11月 「追加金融緩和策」
日本銀行は、さらなる金融緩和の発表を行いました。マネタリーベースを年10兆円~20兆円し、長期国債の買い入れ量も増やすというものでした。この結果1ドル114円台となり、約7年ぶり円安水準まで円安が進みました。 - 2011年3月11日 東日本大震災
大震災が起こると、その国の経済にダメージを与えてしまうことから、通貨は下落する場合が多くなります。東日本大震災においても原子力発電所が停止してしまったことから、代わりに火力発電所のフル稼働を行いました。すると燃料である原油の輸入量が増えて、貿易赤字が増え円安傾向となりました。
ファンダメンタルズ分析のまとめ
私のトレードライフにおいても、経済指標発表時には注視していますし、ファンダメンタルズの変化には気をつけています。なぜなら現在は上昇トレンドだとしても、ファンダメンタルズが悪化すれば、その後に下降トレンドに転換するパターンもあります。もし、流れが変わりそうな要人発言などがあれば、その場合も一旦立ち止まってトレードを見直すように心がけています。